ボー、ボーと汽笛を鳴らし、力強く進むSLが走るのは、島田市の金谷駅と千頭駅を結ぶ大井川鉄道本線。この路線は、近隣の人々を運ぶ、ごく一般的な単線鉄道です。その一方でSLが毎日定期的に走る日本で唯一の路線としても知られ、多くの鉄道ファンや旅行客を引きつけています。
旧国鉄の無煙化に伴い姿を消しそうになったSLを何とか守っていきたいと、大井川鐵道が車両を引き取り、昭和五一年から運行を続けてきました。数両の客車を連ねた黒い機関車が、あたかも人が呼吸をするかのように煙を吐き、動輪を回しながら走ってゆく姿は迫力満点。金谷駅と千頭駅までの三九・五キロを時速三〇〜四〇キロほどの、のんびりとしたペースで進みます。
SLをじっくり見物するなら、車庫のある「新金谷駅」で時間を取りましょう。 お子さんには駅前にある「プラザロコ」もおすすめです。列車は、新金谷駅を出ると茶畑の間を抜け、民家を脇に見ながら、どんどん進んでいきます。道中、車掌さんのハーモニカ演奏や、車窓の風景を楽しみながら、一時間二〇分ほどで千頭駅に到着します。 |
この路線には、もう一つ大きな魅力があります。それが、千頭駅から先の井川線を走る「アプト式鉄道(通称「南アルプスあぷとライン」)。おもちゃのような真っ赤なミニ列車が、急勾配区間を、「アプト式機関車」で連結して進む、日本で唯一の路線です。この区間は、大井川の流れや渓谷の風景が右に左にくり出す眺望が自慢。沿線には紅葉やモミの木などが生い茂り、時には野ザルも姿を見せるなど、手つかずの自然が満載です。十一月の紅葉シーズンは、山々が美しく映え、ひと味違った表情を見せてくれます。 |
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